配管技術研究協会誌に解説

配管技術研究協会から発行されている配管技術研究協会誌のVol62のNo.2に「アコースティックエミッションによる設備診断」と言うタイトルで解説が掲載されました。内容は、アコースティックエミッションを応用した配管の診断技術の紹介で、内容は下記となっています。

配管技術

まず、AEと言う技術を初めて耳にする方のために、「AEの基礎知識」について説明しています。次に、「配管のき裂進行と進行位置の評価」について説明し、さらに「配管の腐食進行と進行位置の評価」と「配管の漏洩と漏洩位置の評価」、「配管の閉塞の評価」について説明しています。また、検査方法だけでなく、検査を実際に実施すのに必要な検査機器についても「AE検査装置」として説明しています。AEによる配管の検査にご興味のあるかたは、ぜひご覧下さい。

AEを利用した配管の診断方法は各誌で色々と紹介されていますが、本解説では、AEをはじめて使用する皆さんにも分かりやすく、さらに各応用方法をひとつにまとめて解説していますので、御理解しやすいと思います。。配管についてや、その他の構造物の設備診断についてご興味のあるかたは「構造物診断」もご参考にして下さい。

ベルトコンベヤの設備診断

ベルトコンベヤの稼働状況をAEで診断しましたので、診断結果を御紹介致します。
ベルトコンベヤは低速回転の設備であり、従来から振動法などによる診断は困難でした。これに対し、AEは亀裂や摩耗により発生します。異常が進行すれば、低速回転の設備でも回転数の影響を受けることなく故障の進行を検出することができます。

ベルトコンベヤ診断結果

下記に、今回の検査対象であるベルトコンベヤで測定したAEの振幅の変化を示します。AEセンサはコンベヤの中央部の軸受の軸受箱に設置しています。AEの振幅が大きく上昇し、持続時間の長い連続的な信号が発生しています。すなわち、摩耗現象であることが推測できます。

ベルトコンベヤの蛇行

設備点検結果

設備の稼働とAEの変化を観察したところ、ベルトコンベヤが蛇行した時にAEの振幅の上昇が観察されました。蛇行により、軸受にアキシャル方向の応力が働き、軸受に異常な摩耗進行が生じてAEの振幅が上昇したと考えられます。

より詳細な評価結果を御用意しています。当社セトラのホームページ「設備診断」を御覧下さい。

チェーンの故障診断

チェーンの故障診断の依頼があり、AEによる検査を実施しましたので紹介致します。チェーンはさまざまな設備で使用されていますが、特にコンベヤーなどの低速回転設備で使用されることが多く、診断方法としては振動法がよく使用されています。しかし、振動法では損傷が大きくならないと診断ができず、また、亀裂の進展による切断などは、原理的に検出できません。これに対し、AEは亀裂や摩耗によって発生します。したがって、低速回転設備においても、回転速度に影響を受けることなく異常が進行さえすればAEは発生し、また亀裂の進行も評価できます。

診断結果

下記に、AEの診断結果を示します。下記は、軸受部にAEセンサを取り付けて、チェーンで発生するAEを、軸受を介して計測しています。下図はAEの振幅の変化を示しますが、周期的にAEが変化しています。この1周期は、チェーンの1周する周期に一致し、チェーンとスプロケットの噛み合いによって発生していると考えられます。したがって、振幅の変化はチェーンの状態を示し、振幅が大きい部分は摩耗などの損傷が進行していると考えられます。

チェーンの故障診断

設備点検結果

本検査では、対象機器の点検を実施した結果、チェーンのグリース量が少なく偏摩耗を生じていて、AEの結果と一致していました。なお、本検査対象はチェーンでしたが、もちろんベルトでも同じように評価することができます。

より詳細な評価結果を御用意しています。当社セトラのホームページの「設備診断」を御覧下さい。

試験機の製作

試験機を製作させて頂きます。当社セトラでは、アコースティックエミッション(AE)の計測器の販売計測サービスをご提供させて頂いていますが、これに関係して材料試験機などの試験機の設計や製作の御相談も多く、数多くの特注の試験機の設計、製作、開発を行ってきました。この経験をもとに、お客様のご要望に応じた試験機を製作させて頂きます。試験機は、株式会社米倉製作所など専用メーカーと共同で製作致します。

試験機

製作例
特殊材料試験機、軸受ラジアル疲労試験機、摩擦摩耗試験機、落下衝撃試験機、高速捩り疲労試験機、クリープ試験機、プーリー疲労試験機、スラスト摩擦摩耗試験機、泥水耐久試験機、ホイール回転曲げ試験機、ドラム耐久試験機、高温観察装置、家具(椅子、キャスター、机など)強度試験機、太陽電池セル試験機など

なお、もちろん製作した試験機にAE計測装置を取り付けて、亀裂や摩耗の進行をオンラインで監視することができます。試験機の動作をAE計測装置に取り込んだり、同期させたり、AEの挙動でアラームを発報したり試験機を停止したりすることも可能です。

試験機の製作、開発の御相談は、当社「お問合せ先」まで御遠慮なくご連絡下さい。

ウェーブガイド

高精度なウェーブガイドの販売を開始しました。ウェーブガイドのガイド(棒の部分)のAEセンサ取り付け部の端面を、ガイド組立後にAEセンサ取り付け部と一緒に切削してAEセンサの接触面との平行精度をできるだけ高くするように製作しています。これにより、ガイドとAEセンサとの接触面積が大きくなり、AEセンサ取り付け時の感度の向上と、安定性が向上しています。また、AEセンサの固定部は絶縁塗装していますので、AEセンサの外面からの電気ノイズの混入も心配することもなく安心してご使用頂けます。ウェーブガイドは、安易に製製作すると感度が大きく低下します。本製品をご使用頂くと、どなたでも安心して高温部のAEを検出することができます。

SAE-WG-H

ウェーブガイド

ウェーブガイドの直径は6mmで、長さは標準で250mmを御用意しています。また、標準で御用意しているウェーブガイドの材質はステンレスですが、さらに高温の場所で使用される場合には、温度特性にすぐれたセラミックスでも製作が可能です。御発注時には、ウェーブガイドの材質と長さをご指定して下さい。

なお、本製品は、直径が20.5mmのAEセンサまで使用できます。さらに大きな直径のAEセンサを使用される場合や、特殊な材質や形状のウェーブガイドや取り付け治具が必要な場合には、特注で製作させて頂きます。ぜひセトラに御相談下さい。

セトラのホームページ「AEセンサ」もご参考にして下さい。

ダイヤフラムポンプ故障診断

き裂や摩耗が進行する時に、AEが発生します。ダイヤフラムポンプでは、ダイヤフラム、弁、シャフトなどの部品が規則的に動作しています。したがって、各動作に対し微細でも摩耗やき裂が進行し、すなわちAEが常に発生しています。

下記に実機で計測したAEの振幅の挙動を示します。各部で生じる摩耗によりAEが発生し、規則的に繰り返されていることが分かります。部品に異常が発生すると、いつもと異なるAEが発生し、異常の進行程度によりその大きさは変化します。また、異常の進行により動作に変化が生じると、AEの発生間隔などAEの発生パターンに変化が生じます。このAEの大きさや発生タイミングの変化を評価することで、ダイヤフラムポンプの異常を診断することができます。変化の評価方法は色々ありますが、下記では標準偏差を求めています。本技術は、ジャパンマシナリーでも取り扱って頂いています。

ダイヤフラムポンプ診断

本内容に関しては、当社セトラのホームページの「基礎知識」あるいは「設備診断」をご参考にして下さい。

マグネット固定治具

マグネットが使用できる計測対象に対し、AEセンサをマグネットで固定できるマグネット固定治具です。本製品は、小型化を考慮して製作しましたので、取り付けスペースも小さくなります。本体は絶縁塗装してあります。したがって、AEセンサに特別な絶縁対策は不要です。直径20.5mmのAEセンサまで使用できます。これ以外にも、曲面用も御用意しています。

セトラのホームページ「AEセンサ」もご参考にして下さい。

マグネット固定治具

SAE-MGH

本マグネット固定治具で使用できるAEセンサは、直径20.5mm 高さ最大32mm。マグネットは長さが20mmと30mmの2種類が選択可能です。スペースと必要強度に合わせて、選択できます。

本製品は、磁石をねじ止めしています。磁石を外して金属ブロック等に変更すれば接着治具としてもご使用できます。また、計測対象にネジ加工が可能なら、磁石取付部のネジを利用することで固定することができます。
さらに大きな直径のAEセンサを使用される場合や、特殊な取り付け治具が必要な場合には、特注で製作させて頂きます。ぜひセトラに御相談下さい。

米倉製作所AEEDY販売開始

米倉製作所AEEDY販売開始。株式会社米倉製作所のAEEDYは包絡線検波を高速に処理して表示するシステムです。米倉製所は、引張試験などに使用する材料試験機では日本トップクラスの会社です。材料試験機CATYシリーズは有名で、特に高温試験機は特に優れていて、加熱と同時に表面観察することが可能です。

セトラでは、共同で材料試験機の販売、製作、開発、試験機の校正を行っています。また、AE関連の試験だけでなく、材料試験などについては、試験メーカーであるコベルコ科研様や日鉄テクノロジー様と共同でお受けすることができます。

計測装置については、「計測装置」もご参考にして下さい。

米倉製作所AEEDY

AEEDYは、AEの信号をアナログ回路で包絡線検波処理し、処理した包絡線検波信号を高速にサンプリングして表示するシステムです。包絡線検波の波形収集に特化したシステムで、波形の任意位置に判断範囲GATEを設定して、設定したGATEのAEのエネルギー、振幅等が設定値を越えた時にアラームを発報することができます。

低ノイズプリアンプ仕様

低ノイズプリアンプの仕様をお知らせします。本プリアンプのノイズの評価は、40kHz〜2MHzと言う広帯域において低ノイズを実現しています。他社品で低ノイズとして販売されているプリアンプは、評価する周波数範囲を限定することで低ノイズを達成していますが、本プリアンプは上記のように広帯域で低ノイズを達成しています。本プリアンプの利得は26dBですが、特注で異なる利得にも対応させて頂きます。広帯域で低ノイズプリアンプをお探しの方はぜひご検討下さい。なお、別売りのプリアンプ電源を利用して本製品に電源を供給すると、オシロスコープなどの波形観察装置を接続することにより、簡単に、そして安価にAE信号が観測できます。

ホームページの「AEセンサ」もご参考にして下さい。本製品は、インターマインドと共同で製作したものです。

電源電圧:4V〜7V
周波数特性:40kHz〜2MHz(-3dB以内)
入力形式:不平衡片線設置
入力インピーダンス:10kΩ±10%
利得:26dB±1dB
入力換算雑音:5μVrms以下
最大出力電圧:2Vp-p(@5V電源)

低ノイズプリアンプ仕様

AEプリアンプ用電源

AEプリアンプ用電源の販売を開始しました。AEセンサのプリアンプに、計測装置がなくても、本プリアンプ用電源からプリアンプへ電源を供給することが可能です。また、お客様が使用している計測装置において、他社の電源電圧の異なるプリアンプ内蔵型のAEセンサやプリアンプを使用したい場合でも、本装置で電源供給すれば使用することができます。本装置の接続例を下記に示します。電源電圧は5V(フィジカルアコースティクス)、15V(NF回路設計ブロック)、20V(フィジカルアコースティクス)の御用意ができます。多CHでご使用したい場合でも、ご要望にお応えしますのでご連絡下さい。本装置は、AEの専用計測装置だけでなく、オシロスコープなどの波形観察装置を接続すれば、簡易的にAEの計測が可能となります。なお、電源は当社で御用意していますが、低ノイズの電源であれば、お客様で御用意して頂いて構いません。もちろん、電池でも駆動することができます。

セトラのホームページの、「AEセンサ」もご参考して下さい。

AEプリアンプ用電源